フィリピンの人口と日本の少子化について

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フィリピンに来て最も幸せだったことの一つは、どこへ行っても若者で溢れているという点である。私が在籍する語学学校の先生も95%が20代であり、街に出てもショップの店員や客もほぼ全員が30代以下の若者であると言っても過言ではない(ただ、古い野菜市場などで働く人のメインは、長きにわたって農業に従事してきた40代以上の人が多いようだ)。実際に、フィリピン人の年齢中央値は25.7歳で出生率は2.7であること,また世界で13番目に人口が多い国であることからも、数字を見ただけで若者の数の多さに圧倒されるのではないだろうか(ただし、最新の情報では出生率は1.9に低下しており、フィリピンの家族化計画にも変化が生じている)。対して日本の年齢中央値は48.4歳で出生率は1.33、高齢人口比率では世界第2位という、他国と比べても若者の数が圧倒的に少ないことが感じられるのではないだろうか。

私は老人が嫌いなわけではないし、若ければいいとも思ってはいない。ただ、若い同世代の人と夢や希望を語り、未来への期待を共有できるこの時間が、どれだけ幸せなことなのかに気付いただけである。私は特に、大学には行かず高校もろくに通わなかったので、同世代と話せる機会が少なかった。職場ではいつも自分が一番年下で、甘やかされつつも常に目上に気を遣い、上の世代に合わせた流行の音楽を聴き、「あなたは若くて未来があるから(でも私たちは年寄りだからもうダメだわぁ)」なんて言葉を毎日のように聞きながら生きてきた。日本の人口は日に日に減っていく一方で、政治家は腐敗して元総理は射殺されるし、年金がどうこう老後は2000万円がどうこうというお金の話にももううんざりしていた。

しかし日本に限らず、フィリピンも、そして世界全体がこれからは高齢化社会と向き合わなければならないだろう。なぜなら環境問題や貧困などは、増え過ぎた人口に対して資源の供給が追いつかないことも原因の一旦であるからだ。若者がいればなんとかなる、発展すると盲目的に信じた人々によって人口は増え過ぎてしまったが、それを正そうとして人間が半無意識に産む数を制限するのは当たり前のことだと思う。

しかし、若さと、若者というのは人類の宝である。年老いた人であっても、心の若さを保ち続けるのが大事なのである。数少ない若者を友好的に活用するには、世界全体(特に日本)が移民対策を軟化させてより人々が流動できる仕組みを作ることが重要になるだろう。特にフィリピンは労働者が余るほどいるのに仕事が無いことが問題なのに対し、日本は深刻な人手不足に悩まされている。日本とフィリピンが手を組めばウィンウィンなのに、いや既に日本とフィリピンは親密な関係にあるものの、フィリピン人が日本で働くには今もなおいくつかの大きなハードルがあり、日本が他国へワーホリに行くように気軽に来れる状況にはなっていない。その原因は特に、異文化に対する理解と寛容性、そしてお金の流動にあるのではないかと私は考えている。

外国人が日本で働く場合、日本人の気質や文化を無視して迷惑だと感じられる言動をすることや、日本で稼いだお金を自国に送金するために日本の利益にならないことが問題の一つにはなっている。また、日本人の保守的な気質もグローバル化を遅らせる一因になっているだろう。そこで、東アジア全体(日本、韓国、台湾、ベトナム、フィリピン、etc)でEUのような新しい連合を作れば、少子化と労働者不足、東南アジアの貧困、経済低迷などのあらゆる問題が改善に向かうのではないかと思った。しかし現実には無理だろうから、次世代を担う我々若者が他国の若者と連携しながら意識改革をしていくことが、21世紀の大きな課題になるのではないだろうか。

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この記事を書いた人

月光のアバター 月光 中卒フリーター

高校を三回中退し、精神科の閉鎖病棟に二回入院し、二十回以上転職した人です。最近は小説を頑張って書いています。

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