マスク外してみた

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 日本でコロナが始まったのは2019年12月初旬、それから長きに渡りコロナ対策の一環としてマスク着用を強いられてきた訳だが、2023年3月13日からマスクの着用が個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断に任されることとなった。私は3月20日ごろから、職場、公共の場を含む全ての場所で常時外しているので、その感想や感じたことについてまとめていく。

目次

マスクを外した理由

私も、政府の発表を聞いた時点ではまだまだ外すつもりがなく、花粉があるから、周りがみんなしているからとなんやかんやで夏頃までしている気ではいた。しかしなぜ外したのかというと、職場にいる唯一歳の近い先輩がマスクを外していたのをみて感化されたというのが非常に大きい。

私の職場は常時数百人の従業員がいるのだが、3月13日の初日からマスクを外しているのは、その先輩ともう一人だけだった。正直なところ始めはその先輩に対して「みんなしているのにすごいな」ととても驚いたし、あとは「そういう人(外す人)もいるんだな」と思うだけでそれ以外は気にもならなかった。しかしその週に先輩と飲みに行く機会があり、先輩はもちろん公共の場でもマスクを外していたのだが、別れ際にその先輩の姿を眺めていたとき、周りがみんなしている中で「同調圧力に流されない」「自分の選択に自信を持っている」「自分の欲求に正直である」姿がとても輝いていて、私もこういう生き方がしたいとすごく強い憧れを感じたため、私も段階を踏んで外していくことにした。

マスクを外す不安

マスクを外そうという時に感じた不安が2つあった。

1つは、今の職場に入社する時点でマスクの着用が当たり前だったため、誰にも素顔を見られたことがないということである。「思ったより不細工だな」と落胆されるのが怖いのと、ビックリされてジロジロ見られることとそれによって起こるストレスを懸念していた。

脳の構造として、人は隠された部分がある方が魅力的に見えるようにつくられている。だから、思ったより不細工に見えてしまうのは仕方ないことだし、それは誰もが通る道である。逆に堂々とマスクを外すことで、他人の目を気にせず自分らしくしている自分に自信が持てるようになり、この顔も個性のひとつだと誇りに思えるようになった。あと、思ったよりも人は他人のことを気にしていないことに気が付くきっかけにもなった。

2つめに、社会全体の意識としてどのくらいの同調圧力や排除が生まれるのだろうかという不安があった。昔は飲食店や病院に行く時も、明らかに発熱や咳などの症状がない場合はマスクはしない人がほとんどではなかっただろうか。しかしマスクによって新たな概念やマナーが生まれ、「飲食店に行くのにマスクしないのは人としてどうなの」というような攻撃的な意識が世に根付いている可能性を心配していた。だが実際にマスク未着用であらゆる場所へ行っても誰にも批判されることもなく、視線を感じることすら全く無かった。むしろ、「私はマスクをしますが、あなたはご自由にどうぞ」という、日本人の持つ他者の自由意志を尊重する優しさがより明瞭になっただけのような気がする。どうやら、世の中にはまだマスクを外すことに抵抗を感じている人が多いものの、それは変化を恐れているだけで、コロナの感染拡大や顔をオープンに見せることに対しては何の関心も無いかのようである。

実態として

3月29日時点で新幹線に乗った際は、車内では約半数の人がマスクを外していた。新幹線内やレストランなどのプライベート空間が確保されている状態では、マスクをしないことに対する抵抗は減っているようである。

街中ではまだまだマスクしている人がほとんどではあるものの、横浜市内の繁華街(横浜駅や桜木町駅前など)では、必ず2・3人は視界に入る程度にはいる。3月29日に大阪・京都市内に行った際は、外している人はそこそこいるものの横浜よりは市民の抵抗感がやや強い印象を受けた。4月1日に宇都宮にも行ったが、やはり地方都市ほどまだ抵抗感が強いように見受けられる。しかし、ど田舎や山中のお店などに行った際は、高齢の人ほど外しているような感じではあった。

マスクを外した感想

以前は、マスクをすることによって表情を隠せることに居心地の良さを感じていたし、コロナ禍ではマスクをしないと服を着忘れたかのような恥ずかしさを感じていた。しかしマスクを外した生活が当たり前になった今、やっぱりマスクをしない方が快適だし心理的にも楽だと私は思う。

それに顔を見せた方が他人との距離も近付くし、自分の気持ちなどもより上手く伝わっているように感じられる。口元や顔のシワ、ホクロも含めてそれがその人自身であり、相手にとっても必要な情報のひとつなのだ。素顔を見せて笑い合えることがどれほど幸せなことか、それを実感できただけでコロナやマスク生活も十分な意義があったのだと思えた。

しかし、もしも私がマスクを外すきっかけになった職場の先輩がいなければ、私は今もマスク生活を続けていたと思うし、未だマスクの着用を続けている人が外すきっかけがないと感じる気持ちも理解できる。強くて美しい生き様を見せてくれた先輩には、とても感謝している。

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この記事を書いた人

月光のアバター 月光 中卒フリーター

高校を三回中退し、精神科の閉鎖病棟に二回入院し、二十回以上転職した人です。最近は小説を頑張って書いています。

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