夢を呪いに変えないために

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 今日まで、一日たりとも夢の存在を忘れることなく生き続けてきた私ですが、その人生のほとんどを、夢によって振り回してきました。

 しかし、 「夢は、呪いだった」と言う人がいますが、(かくいう私もその一人でしたが)本来は夢は夢でしかなく、それを呪いだの足枷だのに変えているのは、あくまでも自分自身なのです。

 今日は自戒のために、夢を呪いに変えない方法について考えてみたいと思います。

目次

夢は何も生み出さない

 みなさんは、自身の夢を想像したときに、どんなことを思い浮かべるでしょうか。

 努力の結果が出る、社会的成功を得る、好きなことでお金を稼げる、自己実現ができる。何らかの得るものがあって、今よりも人生が格段に良いものになって、幸せになれるというふうに想像されたかと思います。

 夢を叶えた人はかっこいいし、みんなから尊敬されているし、羨ましいですよね。

 夢というのは、単なる憧れだけはなく個人のパーソナリティーと密接に繋がっているからこそ、簡単に諦められるものではないでしょう。そしてそれは、夢が叶わない状態に欠乏感を感じ、叶った後に得られるものへの渇望を生み出すことと思います。

  そんな欠乏感と渇望で人生を狂わせた人は、きっと星の数ほどに存在しているはずです。そしてそのほとんどは、きちんと夢を叶えるための努力をしたうえで、夢を叶えられなかった。あるいは破滅の道へと歩んだのだと、夢追い人の当事者だからこそ断言できるのです。

 確かに、夢を叶える前と後で、変わることはきっと多いでしょう。夢を叶えた人と、叶えられなかった人の経験値には桁違いなほどの大きな差があって、それは勝ち負けとも言えるほどの明暗を分けています。

 しかし、そんな前提を踏まえたうえで、あえて言いたいのです。夢は何も生み出さないのだと。

 それは、実際には自分に夢を叶える能力がないのに、無駄な努力をした結果だというわけではありません。夢が自分を幸せにしてくれるわけではないし、夢によって自分は完成されないし、人生は何も変わらないということなのです。

夢で不幸になる人の特徴

 「小説家になる人の特徴は、小説家になりたい人ではなく、小説を書きたい人だ」という言葉があります。小説家になることが目的になっている人は、一度落選した作品を何度も別の賞に送りなおしたりとか、自分本位な作品づくりをしているので、読者の求めるものが考えられていないために、小説家にはなれないそうです。あるいは、人生を賭けた一作だけがすごくて、後は何も書けなくなってしまうとか。

 一方で、小説を書きたい人は、たとえ落選してもまた別の作品を書き続けるし、自分の書きたいものだけではなく、社会情勢や読者のニーズを鑑みた作品ができるので、出版社や社会に求められるようにして小説家になっていきます。それは、本人の努力と才能はもちろん、物事を俯瞰的に見られるからこそ、自分の立ち位置を理解できた結果だとも言えます。

 夢で不幸になる人の特徴はずばり、自分の人生を俯瞰的に見られない人です。

 そういう人は、夢を叶えた結果にある、今ここにないものを渇望し執着しているため、今ここにあるものをどんどんと失っていきます。

 例えば、「夢を叶えてビッグになる」と言っている人がいるとします。その人は、「自分は将来有望なのだから、現在でも既に成功していたり優秀な人としか付き合いたくない」と思って、貧乏くさい友人と縁を切ってしまうかもしれないし、「将来への投資なんだ」と言って親の金を盗んでしまうかもしれません。すると近い将来、その人は友人も親も社会的信用も失い、孤独になってしまうでしょう。

 それは、その人にビッグになる素質がなかったからではありません。今現在にあるものを大切にしなかったことで、夢を叶えるための土台がつくられなかったからです。

 仮に、ビッグになることに成功したとしましょう。しかし成功した後でも、その人は同じように、孤独になってしまうはずです。

夢は現実の延長線上にある

  夢は、異世界転生とは違います。

  夢を叶えた未来は、現実の延長線上にあるのです。

 例えば、「将来はお金持ちになるんだから、今から節約する必要なんてない」と言う人は、お金を稼げるようになったとしてもお金持ちにはなれないでしょう。「将来は宇宙飛行士になるから、今は宇宙の勉強なんてしなくていい」なんてこともないし、「芸能人になりたいけれど、誰からも好かれなくてもいい」なんてことはあり得ないはずです。

 現実は、自分のなかの努力と結果、それだけではありません。努力は絶対に必要ですが、それ以外の様々な要因も含めて、現実なのです。

 つまらない学校、大変な仕事、複雑な人間関係、税の支払いや社会的責任も含めて、全てが現実です。今が辛くても、辛いなかにも大切なことが、一つや二つはあるでしょう。仕事帰りの夕焼けに染まる街並みや、寝る前のちょっとした趣味時間だったり、そういう些細な幸せも、それ以外を大切にしなければ、それらを感じ取る余裕もなくなってしまいます。

  自戒を込めて、自分自身に言いたいです。

  今あるものを大切にできないならば、それこそ未来に待ち受けるのは、不幸しかないのだと。

 

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この記事を書いた人

月光のアバター 月光 中卒フリーター

高校を三回中退し、精神科の閉鎖病棟に二回入院し、二十回以上転職した人です。最近は小説を頑張って書いています。

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