チュニジアは北アフリカに位置する国で、地中海とサハラ砂漠に面しています。首都チュニスにあるバルド国立博物館には、古代ローマ時代のモザイク芸術からイスラム美術に至るまでの考古学遺物が展示されています。メディナと呼ばれる旧市街地区には、壮大なザイトゥーナ モスクや活気に満ちた青空市場のスークがあります。東部にはアントニヌス浴場をはじめとするカルタゴ遺跡が残っており、カルタゴ博物館では工芸品が展示されています。
チュニジアは北アフリカのほぼ中央に位置し、首都チュニスから対岸のイタリア・シチリア島までは僅か290kmほどの距離にある。
この国の歴史は異民族による支配の歴史であった。先住民ベルベル人に始まり、今から3000年前にはフェニキア人がカルタゴをつくり、そしてローマとのポエニ戦争を経てローマ帝国に属しながらアフリカの首都として発展、7世紀末にはアラブ人が国家をつくり、19世紀末にフランス領となり、独立した今に至る。
文化はイスラーム、公用語はアラビア語であるが、元はフランスの統治下にあったことからフランス語も広く使われている。
チュニジア料理
チュニジア料理は、パスタや米、パンを主食とし、地中海で豊富に獲れる海の幸をオリーブオイルで調理する方法が一般的。中でも有名なのは、オリーブオイルと唐辛子・ハーブを使ったハリッサという調味料で、日本でいう醤油のような位置づけにあり、これをかければなんでもチュニジア風の味わいになるというもののようである。
また「世界最小のパスタ」と言われるクスクスも有名で、北アフリカで広く食べられているこれはチュニジア・モロッコ・アルジェリア(総称してマグリブとも呼ぶ)が発祥の土地であると言われている。
今回は、東京都板橋区にあるチュニジア料理専門店「ブラッスリージェルバ」に行ってきた。
ブラッスリージェルバ · 〒174-0051 東京都板橋区小豆沢2丁目15★★★★☆ · チュニジア料理店maps.app.goo.gl
Googleマップ記載のメニューを見て頂くと分かるのだが、確かに魚料理が多いことが分かる。品数も70種類以上あり迷ってしまったのだが、隣に座っていた常連らしい客にオススメを聞いたところ、「私はいつもクスクスを頼む」と言われたので私もそれを頼むことにした。シェフ(オーナーの妹らしい)はアラビア語とフランス語しか話せず、日本語で話しかけると「ワタシニホンゴワカリマセン」と言わてしまった。
今回頼んだのはクスクスマルスース、クスクスはパスタの種類でマルスースは大麦という意味らしい。一般的なクスクスはデュラム小麦(粒が固くて黄色い)の全粒粉を使用するが、これは大麦を使っていますよというなんとも正直な品名である。
蒸したクスクス・マルスースの上に、トマトベースのスープ「タージーン」で煮込んだ骨付きラム肉、そら豆、ひよこ豆、キャベツ、ピーマン、ズッキーニ、にんじんがのっている。隣にある液体は「クスクスと同じ味のするスープだ」と思ってごくごく飲んだものの、後から調べたところ本来は少しずつ料理にかけて食べるものだったらしい。また、ヘルシーな見た目とは裏腹に、クスクスはどんぶりのような深皿で出てくるので、3人で2品分けるくらいが分量的には丁度良さそうである。
感想としては、あっさりとしたトマトの風味とキビのような軽やかな食感のクスクスが熱い日差しと地中海の海風をまず連想させた。アラビア料理と風体は似ているものの、イタリアのトマトスパゲティのような味わいと、ギリシャのオリーブオイルのような爽やかさが、ラム肉の野性的な臭みと対比してかえって北アフリカらしい特徴を出している。青と白で統一された美しい街の中から、対岸に見えるシチリア島に思いを馳せる自分……を想像しながら食べた。
デザートには、カークワルカ(白いやつ)、マクルーズ(右上)、バクラワ(左下)を注文。それぞれ1個から頼めて、190円〜と安いのもありがたい。
カークワルカは、アーモンド粉でつくったスノーボールクッキーのようなものの中にしっとりとしたドライフルーツの餡(デーツ?とミント)が入っている。生地にはロサ・カニーナという野バラのフラワーウォーターが練り込まれ、ほんのり甘い香りがする。
マクルーズ(マクロウド)は、デーツのペーストをクスクスなどの原料であるセモリナ粉(ひきわり小麦)の生地に包み、揚げて蜂蜜で甘く味付けしたもの。
バクラワは、大量のバターで揚げ焼きした甘いお菓子で、中東で広く食べられているものである。フィロと呼ばれる紙のように薄い生地を何層にも重ね、中間部分に細かく砕いたピスタチオやクルミなどのナッツを挟んでいる。感覚的には日本のお菓子「パイの実」に近く、日本人の舌にも馴染みやすい。しかしいくら美味しいからと言って、パイの実の如くパクパク食べるのはよろしくない。なぜなら、ただでさえ大量のバターが染み込んでいる上に、最後に更に洪水の如くシロップをかけてあるのだから。
デザート全般は、日本の美味しいお菓子に慣れてしまっていると、わざわざ好んで食べたい味とは感じられないけれど、嗜好を凝らしてつくられた品々はよりその文化に親しみやすくしてくれる気がする。
次は魚料理を食べに来たいものである。
(2023年1月28日 21:00 作成)
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